京の伝統工芸歴史と技術が織りなす職人業
京念珠とは、京都珠数製造卸共同組合の伝統工芸品。京都の珠数職人たちが技術研鑽し、伝統的製法を保持してきた念珠(珠数)の品質を守るため、平成19年に「京念珠」の商標登録を取得しました。
珠の数は108個。人間の欲望と執着を表す「煩悩」の数です。この煩悩から開放されるために、お珠数(念仏)を唱えます。念珠の中を通っている糸には、仏様と私達の心が通じ合っている様子を意味しており、念珠の輪には私達の心が円く素直になることを表しています。
一千年以上に渡り日本の政治や文化の中心にあった京都は、明治維新で政治機能を東京に移した後も、宗教としての首都機能は残っており、今現在も、日本仏教の中心。その京都の地域特性によって発展していったのが京念珠というわけです。
京都は近世以降、全国有数の絹織物の生産地、集散地でもあります。念珠に必要な絹糸を手に入れやすかったことも発展を支えた理由として挙げられます。
京都の伝統産業の分業体制は、京念珠の発展に影響があったといいます。京念珠は宗派や寸法、材質など組み合わせが無数にあり、多品種少量生産が求められる市場です。材料の供給や部位の生産は分業体制あってこそ。職人たちは、ネットワークを駆使し伝統的製法を保持し発展させてきました。京念珠は、まさに京都の歴史的特性を表す「地域ブランド」なのです。
京念珠は現在もなお全て手作りです。ひとつの念珠、数珠が完成するまでに多数の作業があり、それぞれ専門職人の熟練の技によって作り上げられます。手作りにこだわるのも、京念珠、数珠の特徴のひとつであり、それ故に一般に広く愛されています。